ブーケ賞① by刺しゅうアートフェスティバル2026
2026年7月16日〜21日に開催した「刺繍アートフェスティバル2026」において、弊社からはインタビューをしたい。お話を聞いてみたい、そこを基準に3名の作家さんを選出し、「ブーケ賞」をお贈りいたしました。
その中から本日は、受賞された今田美和子さんの作品をご紹介します。
昨年の「刺繍アートフェスティバル2025」に続き、2回目の出展ということで、印象に残っている方も多いでしょう。
多くの方が会場で作品の前で足をとめ、じっくりと覗き込んで作品をご覧になっていました。 今日はそんな作品の魅力を解き明かしたいと思いブーケ賞のインタビューをお願いしました。
刺繍アートフェスティバル2026
ブーケ賞
刺繍作家インタビュー
ブーケ賞
刺繍作家インタビュー
作品を初めて見たとき、まず目に飛び込んできたのが、深く美しい「青」
白を基調とした作品の中に浮かび上がる、染付を思わせる渋い青。
よく見ると、糸だけではありません。
ビーズ、スパンコール、アリワーク、リュネビル刺繍……。
これまで学んできたさまざまな技法と素材が、一枚の作品の中に惜しみなく使われています。
そして何より面白いのが、モチーフが「古伊万里のお皿」であること。
刺繍作品をお皿の形に仕立て、さらに表だけではなく裏側にまでびっしりとビーズ刺繍が施されています。
「ここまで刺すの?」と思わずにいられない密度。
でも、お話を伺ってみると、この作品が生まれた理由がよく分かりました。
今田さんにとって刺繍は、「何かを作るため」のものというよりも、刺繍する時間そのものが楽しいもの。
きっと、こんなふうにビーズたっぷり刺した中に、今田さんの刺繍愛が込められているんだと思います。
今回は、そんな今田さんの、いや、伊万里さん!?の
刺繍との出会いから、古伊万里をモチーフにした作品が生まれるまで、たくさんのお写真とおもにお伝えいたします。
好きを重ねて刺繍する
古伊万里と青、そして刺繍時間を愛し、楽しむ。
古伊万里と青、そして刺繍時間を愛し、楽しむ。
今田 美和子
2回目だからこその、楽しみとプレッシャー
今回で刺繍アートフェスティバルへの参加は2回目。昨年と比べて、心境に変化はありましたか?
昨年は、お教室で勧めていただいたことがきっかけでした。
「みんなで楽しみましょう」という気持ちで参加したのですが、その作品でアイデア賞をいただくことができました。
そのため今年は、嬉しい反面、少しプレッシャーもありました。
それでも、たくさんの作品を見たり、作家さんたちと触れ合ったりできることがとにかく楽しみで、今年も出展することに決めました。
家族や友人からも「今年も楽しみにしているね」と声をかけてもらい、それが制作のモチベーションにもなりました。
会期中には、昨年に続いて高齢の母も会場へ来てくれました。
私の作品だけでなく、会場そのものの雰囲気も楽しんでくれたようで、とても嬉しかったです。
大好きな「古伊万里」を刺繍にしたら
前回に引き続き、今回もとてもテーマ性のある作品でした。なぜ古伊万里だったのでしょう?
伊万里は若い頃から少しづつ集めている器で、日頃から食卓にも並ぶ身近な存在です。
「好きなものをモチーフに」と思ったとき、自然と浮かんできたのが古伊万里のお皿でした。
見慣れた柄を、刺繍で表現したらどんなだろう?とワクワクしました。
モチーフに古伊万里の染付を選んだ理由のもう一つは、色です。
青が大好きなんです。服も小物も…何でも青を選ぶくらい好きなので、手元にある糸もビーズも青ばかり。
古伊万里を刺せば、これまでに買い集めた素材をたっぷり使ってあげられるなぁ・・・とも思いました。
2つの刺繍技法と素材作り。そして裏側へのこだわり
技法や技術面で頑張った点、見てほしい、
昨年は大西望代先生のお教室で習った、アリワーク刺繍の技法を活かした作品でしたが、今年はリュネビル刺繍や、今まで経験した様々なの技法を取り入れて制作しました。
時間を掛けたのは裏面のビーズ刺繍、アリワークで唐草模様を刺してから、リュネビルで面を埋めています。
ここではアリワークとリュネビル、2種類のかぎ針刺繍の良いとこどりが出来たのでは?と満足しています。
その他のこだわりポイントですが、表面に使用したスパンコールです。イメージに合う素材がなかなか見つからなかったので、片穴の平スパンコールにアイロンを当てて凹ませ、カーブをつけて立体的に仕上げました。
「こんなパーツ無いですよね?」とのご質問も多かったので、妥協しないで良かったと思った部分です。
お皿の形に仕立てたので、裏面も見ていただく為に、皿立てや鏡を使用した展示にしました。
来場された皆様にも、じっくり見ていただけたようで良かったです。
刺繍の目的、原点、刺繍がくれたもの
普段は誰のために刺繍していますか?
息子が小さかった頃は、持ち物に名前を入れたりリクエストの電車を刺繍したりしていました。
幼稚園のスモックや手提げに、これでもか!と気合の入った刺繍を刺していましたが、そのニーズも彼の成長と共に無くなりました。
その後は自分の好きなものを、気ままに刺すようになりました。
10年ほど前にリュネビル刺繍を、4年前にアリワーク刺繍を始めたのは、純粋にそれぞれの刺繍の技法に興味があったからです。
この自分には到底縁のない煌びやかな刺繍に手を出してしまってからは、刺繍する事自体が目的になっています。
少しかぎ針を持たずにいると、「あー何か刺繍したい」と思いますし、「作ったものを使うのか?」は二の次です。
誰の為に刺繍しているか?と聞かれたら、今は自分の「楽しい」の為だけに刺繍しています。
「刺繍する時間」そのものが、私には大切で楽しいことなのです。
どんな時間に刺繍をしていますか?
家では、家族が寝静まった夜遅くの時間帯が多いです。
音楽や撮りためたテレビドラマを、イヤホンで聴きながら手を動かすのが好きです。それ以外には、お教室に伺っている時が一番楽しいですね。
先生や他の生徒さんとおしゃべりしながら刺繍が出来る、とても大切な時間です。
刺繍を始めたきっかけは?
母が編み物など手芸全般を趣味にしていたので、刺繍もそのひとつとして母が教えてくれました。
小学3〜4年生の頃には、夏休みの自由研究で刺繍入りの手提げを作ったりしていました。
自分で言うのは恥ずかしいのですが、「お母さんに手伝ってもらったでしょ?」と先生に言われて、「私器用なのかも?」と密かに自信を持ったのを覚えています。
刺繍がくれたご縁や人生の転機はありますか?
色々な刺繍を習って来た過程で、教えて下さる先生方をはじめ、刺激を与えて下さる存在は有りました。
物作りに対する姿勢、その楽しみ方や活かし方には色々な考え方が有ります。
同時期に習い始めたあの人があっという間に手作り作家デビュー!
刺繍を趣味のままにするのか?その先に進むのか?今のところ、私は前者のままですが…。
刺繍をきっかけにした人生の転機はまだ訪れていません。
もしかして、これから?かも知れませんね。
刺しゅうアートフェスティバル
昨年11月に立体作品でエントリーしてから、年明け頃にデザインを決定し、その後試作からスタート。
刺し始めは試行錯誤しますが、イメージがまとまるととにかく楽しくて、手を止めたくない気分になります。
昼間に刺し始めると、夕ご飯の支度もしたくないし、食べる時間も惜しいくらい。
家事を終えてから再開するのですが、夢中で気付くと朝になっていたなんてこともありました(家族苦笑)。
写真選考までに仕上げると決めていたので、5月末には手を止めました。
時に不採用のパーツも↓
これで完成とした時は「ここまでで終えて本当に良いのか?」という葛藤と不安がありました。
その後会場に置かれた作品を見た時には、周りの作品に圧倒され、自分の作品がとても小さく存在感がないように見えました。
大きさは良かった?刺繍の密度は足りている? 今更考えても仕方ないことが、頭の中でぐるぐるしていました。
それでも展示が始まり、たくさんの皆さんに会場で作品を見ていただき、ご質問や嬉しいご感想をいただくことが出来、大好きな作家さんに素敵なお写真まで撮っていただけて、やっぱり制作して良かった、出品して良かった、という気持ちで満たされました。
そして今、多くの方に作品を見ていただけただけでなく、ブーケ賞に選ばれたことに大変感謝しています。
出展を決めてから、心の中では色々な思いがありましたが、その全てに意味が有って今に至ったのだと感じています。
これからの想い
会場ではすっかり「お皿の人」「伊万里さん」
そして来年の秋には、大西望代先生の「ビーズを編む生徒作品展」
生徒作品の展示だけでなく、販売も予定されているので、
そちらも私らしい作品になる様、楽しんで作りを続けたいです。
刺繍の世界は奥深く、知らない技法がまだまだ沢山あるので、
今田 美和子
アマチュアの刺繍愛好家。
家事の傍ら、時間を見つけて創作に取り組む。
刺繍アートフェスティバル2025アイデア賞受賞。
刺繍アートフェスティバル2026ブーケ賞受賞。
昨年に引き続き古伊万里の皿がモチーフ。
前回は15枚を一作品に
頑
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