「百合の紋章」の物語
2025/02/27
今まで何度かデザインをし、さまざまな刺繍技法で刺してきた「百合の紋章」デザイン。レッスンでも常に生徒さんに人気のデザインです。
実際に刺繍に向いているかというと実は難しいところで…左右対称という最大の難関があるのですが、それでも刺したい!そう思ってもらえるように「百合の紋章」についてのお話を綴ろうと思います。
実際に刺繍に向いているかというと実は難しいところで…左右対称という最大の難関があるのですが、それでも刺したい!そう思ってもらえるように「百合の紋章」についてのお話を綴ろうと思います。
フルール・ド・リス(fleur-de-lis)
百合の紋章はフルール・ド・リスとも呼ばれています。
優美な姿で多くの人を魅了してきた百合、もしくはアヤメ(アイリス)の花を模式化した意匠で各国で何世紀にも渡り大事にされてきた象徴デザインです。
優美な姿で多くの人を魅了してきた百合、もしくはアヤメ(アイリス)の花を模式化した意匠で各国で何世紀にも渡り大事にされてきた象徴デザインです。
著書「アルファベットの刺繍図案帖」より
時を超える優雅さ
百合の紋章の隠された物語
洗練された3枚の花びらの紋様は何世紀にもわたって権力、純潔そして神聖さの象徴として世界中の紋章や装飾に使われてきました。
この美しい紋章の背後にはどのような歴史的背景や文化的な意義が隠されていつのでしょうか?
この美しい紋章の背後にはどのような歴史的背景や文化的な意義が隠されていつのでしょうか?
王家の象徴〜フランス王家と百合の絆〜
百合の紋章は特にフランス王家との関連で最もよく知られています。12世紀、ルイ7世の時代に公式な王家の紋章として採用され、それ以来、フランス王制の象徴として君臨してきました。青地に金色の百合という組み合わせは、フランスの王権、ブルボン家を表す最も強力なビジュアルアイコンです。
ちなみに青は天と神聖さを、金色は太陽と王権の輝きを表しています
そもそも、伝説によれば、クロヴィス1世がキリスト教に改宗した際に天から百合の花が贈られたという物語があり、また別の言い伝えではフランク族の戦士たちが川を渡る際にどこが浅瀬かを示すために生えていたアヤメ(アイリス)から着想を得たという話もあります。
何世紀にも渡り、フランスの城、宮殿、公共建築物に多くの百合の紋章が刻まれ、フランス王国の威厳と権威を象徴してきました。王族、貴族、大統領もこの百合の紋章の意味を大事にし、フランス革命後、そして現代に至るまでも数々の装飾品に刻まれ、フランスのアイデンティティに深く根付いています
私はフランスのブルーとゴールドの色使いが大好き!ゴールドはくすんだ真鍮のような色味が特にタイプなのです。濃いブルー布に、DMC612は私の鉄板組み合わせです。
ちなみに青は天と神聖さを、金色は太陽と王権の輝きを表しています
そもそも、伝説によれば、クロヴィス1世がキリスト教に改宗した際に天から百合の花が贈られたという物語があり、また別の言い伝えではフランク族の戦士たちが川を渡る際にどこが浅瀬かを示すために生えていたアヤメ(アイリス)から着想を得たという話もあります。
何世紀にも渡り、フランスの城、宮殿、公共建築物に多くの百合の紋章が刻まれ、フランス王国の威厳と権威を象徴してきました。王族、貴族、大統領もこの百合の紋章の意味を大事にし、フランス革命後、そして現代に至るまでも数々の装飾品に刻まれ、フランスのアイデンティティに深く根付いています
私はフランスのブルーとゴールドの色使いが大好き!ゴールドはくすんだ真鍮のような色味が特にタイプなのです。濃いブルー布に、DMC612は私の鉄板組み合わせです。
イタリアの都市国家と百合の紋章
フランスだけでなくイタリアのフィレンツェも百合の紋章と深い関わりを持っています。フィレンツェの紋章は赤と白で都市の守護聖人である洗礼者ヨハネへの敬意を表しています。
(赤は都市の力、白は純潔を表現)
形状も少し異なり、3枚の花びらの間に2本の雄蕊のようなものがあしらわれ、より自然な花に近い形状をしています
中世から近世にかけて フィレンツェが芸術文化の中心地として繁栄した時代、この紋章は都市の権力と栄光を象徴し、メディチ家などの有力者もこの紋章を自らの権威付けとして利用しました。今日でもフィレンツェの市章として街のあらゆるところで百合の紋章を見ることができます。
私が思うフィレンツェといえばトスカーナワイン!!ワインのエチケット(ラベル)にもこの百合の紋章が描かれたものが多いです。
(赤は都市の力、白は純潔を表現)
形状も少し異なり、3枚の花びらの間に2本の雄蕊のようなものがあしらわれ、より自然な花に近い形状をしています
中世から近世にかけて フィレンツェが芸術文化の中心地として繁栄した時代、この紋章は都市の権力と栄光を象徴し、メディチ家などの有力者もこの紋章を自らの権威付けとして利用しました。今日でもフィレンツェの市章として街のあらゆるところで百合の紋章を見ることができます。
私が思うフィレンツェといえばトスカーナワイン!!ワインのエチケット(ラベル)にもこの百合の紋章が描かれたものが多いです。
現代におけるフルール・ド・リス
王政時代が過ぎ去った現代でも百合の紋章の魅力は衰えることなく、歴史を刻む紋章として大事にされています
デザイン界での人気
現代のインテリアデザインやファッション業界では百合に紋章は「古典的」「エレガント」「高級感」そんなモチーフとして広く扱われています。壁紙やファブリック、家具の装飾としてなど、使用することで空間に深みと拡張高さをもたらします。
フランスでは特に自国の文化を反映するデザイン要素として百合の紋章を採用することが多く伝統と確信の融合を表現しています
フランスでは特に自国の文化を反映するデザイン要素として百合の紋章を採用することが多く伝統と確信の融合を表現しています
文化的な要素
ケベック州の旗にも紋章が使われているようにフランス文化の影響を受けた地域でもシンボルとして今も重要な役割を果たしています。
世界のボーイスカウト運動でも百合の紋章は「正しい道を示す」という意味で採用され、ここでは王権の象徴というよりは道徳的指針としての意味が与えられています。
世界のボーイスカウト運動でも百合の紋章は「正しい道を示す」という意味で採用され、ここでは王権の象徴というよりは道徳的指針としての意味が与えられています。
愛される魅力
世代を超えて愛される理由として私が1番に考えるのは「デザインの完成度」シンプルでありながら洗練され、気品もあるけれど、歴史から感じるかっこよさ、たくましさもある。左右のバランス、カーブの美しさ、くびれのあるデザイン、どれをとっても視覚的に美しいのです!
また、百合、あやめという、自然美から作られたモチーフというのも皆が好きな所以かと思います。
歴史背景、そしてデザインとしての完成度。そこが百合の紋章が時代を超えて愛される魅力ではないでしょうか?
また、百合、あやめという、自然美から作られたモチーフというのも皆が好きな所以かと思います。
歴史背景、そしてデザインとしての完成度。そこが百合の紋章が時代を超えて愛される魅力ではないでしょうか?
刺繍ルームオリジナル
アジュール刺繍フィレによる百合の紋章
アジュール刺繍フィレによる百合の紋章
category デザインのヒント