ストリートピアノ問題と刺しゅうアートフェスティバル
最近、世間を賑わしているストリートピアノ問題。
ストリートピアノ問題とは
公共空間に設置されるストリートピアノにおいて、[つっかえてばかりの演奏に多くのクレームが入っている。練習は家でしてください。練習を重ねてつっかえずに弾けるようになってから発表していただけたら幸いです。誰かに届いてこそ「音楽です」手前よがりな演奏は「苦音」です]とストリートピアノ運営側が発表したことが発端で、ネット上で炎上した問題。
多くの方がストリートピアノは誰でも気軽に音楽に触れるために設置してあると認識していて、運営側の発表に賛否というか、批判意見が多数で運営側と世間のズレがはっきりと見えました。
音楽という芸術や文化において人の好みは様々で、好きな音楽、音色は心地よいと感じても音楽が苦手な人からは「うるさい」としか感じられないのかもしれない。ルールを設けるとか、設置する場所云々、運営側ももっと考えることがあったのかもしれないけれど一部のクレームによって楽しみたい人、楽しんでいた人の場所が奪われることはとても悲しい事ですし、それが「芸術」の発展、文化継承の妨げになるのはもっといけないことだと思います。一部の意見だけに捉われず、もっと広い視野、長い目で芸術、文化をとらえて行かなければと思いました。
この一件は芸術表現における「上手さ」と「楽しさ」の境界線について私に重要な問いを投げかけてきました。
刺しゅうアートフェスティバルの懸念
さて、このストリートピアノ問題を受けて私が開催する「刺しゅうアートフェスティバル2025」の刺繍芸術、刺繍文化についても少し考えてみました。
展示会、コンテスト形式ということで不特定多数の方に訪れてもらい、刺繍をもっと知って興味を広げて欲しい、刺繍をもっと一般的なカルチャーにしたいと考えているのですが、ここにも人の好みというものが存在するのかもしれません。
ストリートピアノのように開かれた場所に設置してあり、興味がない人にも音が届いてしまう楽器と違い、あくまでも刺繍を見に来る目的の方が集まるので一概に同じとは言えないですが、刺繍の多様性で賛否があるかもしれないことを少し心配しています。
自分の好みと他人の好みは違う。
私の経験を語らせていただくと…かなり前、10年くらいは経つのかもしれませんが、「白い布に白い刺繍」このエレガントで上品な刺繍が好き!そう思って作った作品を委託先の店主に「白い布に白い刺繍じゃ目立たなくて地味」と言われたことがありました。
もちろんその頃の技量やデザインの浅さもあってそう言われたのかもしれませんが、その言葉はアドバイスには取れないし、ただの作品否定と思ってしまいました。
自分の好きな世界観を否定されることはものすごく辛いことです。…が、数日でショックから活力に変えました。全く気にしない私はこうしてブログネタにできるくらいのメンタルですし、「絶対にこのまま好きなスタイルを貫いた作品作って見返してやる!」くらいの気持ちで今に至り、今思うとそれは私を大きく成長させてくれる経験となりましたが、価値やスタイルについて深く考えるきっかけとなりました。
芸術は多様性の中に宿る・多様性から学ぶこと
白が好きな人、カラフルが好きな人、上品な作品が好きな人、ポップな作品が好きな人。色々いていいのです。それも全部刺繍の文化だから。
だからそれを否定することなく、いつもならあまり目につかないような作品も真剣に見てほしい!刺繍をもっと広い視野で楽しんで欲しいと考えています。
上手い下手が目につくかもしれないけど、それよりデザインが素敵ならいいじゃない!
「こんなデザイン、私なら思いつかない!」そんな発見があったり、
「こんな色使い、今まで考えたことなかった!」そんな気づきがあるかもしれません。
私の好みではないからダメ。目障り。そんな否定では文化は広がっていきません。そういう人は自分で自分の作品だけで個展を開催すればいいだけ。
何も難しくありません、会場借りて、展示すればいいだけ。
もちろん好みを通すことは大事で、
さらに言うと「継承すること」を目的に指導している教室は絶対に今後も必要不可欠で絶対になくしてはいけないのですが、
それとは別に、視野を広げる意味で普段なかなか見る機会のない他ジャンルの刺繍の魅力にも触れられる機会というのは貴重ではないでしょうか?
カラフルな作風が好みの方も白一色の世界でも地味と思わず、そこから何かしらの楽しさがあるかもしれないと思って作品を見てほしい。
かっこいい作風が好みの方も可愛らしさ、ポップさから新しい視点、ヒントを得てアイデアの引き出しを増やしたい。そんな目で見てほしい。
大きな作品、時間をうんとかけて作られた細かい作品でなくてもいい。小さな刺繍枠1つの中に込められた思いがみられる作品でいい。
刺繍の芸術性、文化の未来のため
刺繍ジャンルや教室の垣根を取り払った「刺しゅうアートフェスティバル2025」だからこそ広げられる刺繍の世界があると信じています。ご来場の方には様々な作品に光を当てられる賞を設けています。
pop賞、ラブリー賞、アイデア賞、cool賞、ゴージャス賞、ビューティフル賞
展示作品全てにリスペクトを持って、作品をご覧いただき、投票してください。
メッセージ
自分的に刺繍技術はまだまだ…と自信がなくても刺繍が好きならOK
誰かに見てもらってこそ作品はもっと輝く。
これでいいかな。大丈夫かな?下手、変って思われないかな?なんて勝手な不安は捨てて、申し込みしたことを自信に変えていきましょう!
刺しゅうアートフェスティバル2025が
あなたの新しい刺繍との出会いの場になりますように。
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