andBouquet賞② by刺しゅうアートフェスティバル
2025年7月17日〜21日に開催した「刺しゅうアートフェスティバル2025」において、弊社からは
・株式会社ブーケ賞(2名)
・andBouquet賞(5名)をお贈りいたしました。
その中から本日は、andBouquet賞を受賞された
「うさぎのしっぽ堂(usappodo)」さんの作品をご紹介します。
美しいビーズの輝き、インタビューとともにぜひご覧ください。
andBouquet賞
刺繍作家インタビュー
刺繍作家インタビュー
遠くからでも視線を惹きつける、輝きとインパクト。2作品は同じリュネヴィル刺繍の技術を基盤にしながらも全く異なる印象です。
「花束」では柔らかく色とりどりの輝きを。「輝く未来へ」では華やかで威厳ある世界感。
色彩・構成によってこんなにも多彩な表情を生み出せる感性の幅の広さに感嘆しました。
普段私は「誰が見ても私の作品と気が付いてもらえるような作品作り」を心がけてデザインをしていましたが、この2作品を見てハッと思いました。
「同じ作家の作品なの?」と見た人を驚かせるようなサプライズも面白いかもしれない、と。
美しく繊細な仕上がりと奥深い個性から、新たな気付きを与えてくれた「うさぎのしっぽ堂」さんに制作の背景や刺繍に込めた想い、今後の展望までじっくりお伺いしました。
柔らかさと威厳
2つの輝きを生み出す世界観と魅力
2つの輝きを生み出す世界観と魅力
うさぎのしっぽ堂(usappodo)
うさぎのしっぽ堂(usappodo)」と申します。
刺しゅうアートフェスティバル2025 で、and Bouquet 賞をいただいたことをとても光栄に思っております。今回の作品に込めた想いや制作の背景などを少しご紹介させていただきます。
名前の由来
まずは、私の活動名のことを「なぜ?うさぎのしっぽ堂?」と聞かれることがよくあります。
私にとっての「うさぎのしっぽ」は、ふわふわとした愛らしさで、うさぎの魅力をさりげなく、上品に引き立ててくれる存在。そして一つ一つ色や毛並みが違っていて同じものは決してない。そんな小さな個性を持った作品を「いかがでしょうか?」という気持ちを込めてつけました。
現在は主に刺繍(リュネヴィルクロシェ刺繍、針刺繍) を施したジュエリーやバッグの制作。展示会への参加、ワンデーレッスンなどの活動をしています。
刺繍との出会い
初めて刺したのはどんな刺繍だったのでしょうか?
私の刺繍との出会いは中学生の頃、手芸クラブで風景を描いた刺繍作品を作ったことが始まりでした。その作品は卒業後も長く家庭科室に飾られていたと大人になってから知り、とても驚いたことを覚えています。
幼い頃から手仕事が好きで、母によると3 歳の頃にはホックボタンを見よう見まねで人形の洋服に縫い付けていたそうです。小学生の頃は絵を描くのも好きでしたが、編み物、ペーパーフラワー、模型などを作っていました。
中学では手芸クラブに入部。以降は建築に興味を持ちそちらの道に進んだため、結婚するまでは手芸はほとんどしていませんでした。再びはじめたのは子育て時期にミシンで子ども服などを作り、それに時々小さな刺繍を施していました。
リュネビヴィル刺繍に触れたきっかけは?
その後、子育てが落ち着いた頃、コスチュームジュエリー作りを楽しむようになりました。しかし、ジュエリーを制作する中で、「パーツを組み合わせるのではなく、自分で素材そのものを作りたい」と思うようになり、オートクチュールビーズ刺繍を習い、やがてリュネヴィルクロシェ刺繍の存在を知って体験会に参加したところ、かぎ針を使った独特の技法の難しさと繊細なビーズやスパンコールを扱う楽しさに惹かれ、本格的に学びたいとリュネヴィルクロシェ刺繍を教えて下さる先生を探し、習い始めました。
今もその頃の気持ちは変わらず、リュネヴィル刺繍の奥深さに触れながら、ゴールドワーク刺繍の技法などもお教室の作品の中で教えて頂き、楽しく学び続けています。
作品作り
一つの作品に相当な時間がを要する刺繍ですが、普段はどんな環境で制作されていますか?また、制作中に大切にしていることがあれば教えてください。
かつては作品制作する時は、朝、家事を終え9 時頃から1日12 時間も刺繍をしていた時期もありましたが、昨年の冬に肩を痛め、しばらく制作をお休みし、今年の春から少しずつ再開しました。
今はリハビリを続けながら、平日の午後3~4 時間を制作時間に充てています。以前より1日の作業時間が短くなり、完成まで日数はかかりますが、どんなに素敵なデザインであっても、美しく仕上がらなければすべてが台無しになるという思いから、作品として完成するまで、丁寧にを心がけて制作しています。
作品のアイデアやインスピレーションは、どのようなところから得ているのですか
作品を考える場合、植物モチーフを中心に、美術館で出会った作品や、自然の風景、建物の装飾、あるいは日常の小さな発見がきっかけになることもあります。特に朝、目が覚めた瞬間にふと閃くことがあり、そんな時はすぐにメモをとります。白や淡い色合い、マットな金銀が好きで、小さなビーズやスパンコールを使った繊細な輝きの表現を大切にしています。
刺繍アートフェスティバル
刺しゅうアートフェスティバルへのご出展は、どのようなきっかけだったのでしょうか?また、出展された「花束」や「輝く未来へ」の作品には、どんな想いやこだわりが込められていたのか教えてください。
刺しゅうアートフェスティバルへの出展は、リュネヴィル刺繍の先生から「出してみては?」と声をかけていただいたことがきっかけでした。
出展作品のひとつ「花束」は4 年ほど前に、うさぎのしっぽ堂の代表作となるようにと、好きなバラの花を束ねた様に、立体刺繍で制作したパーティーバッグです。大きな花に目が行きがちですが、小さな花ほど細かい作業の連続で、小さな花びらのカーブをワイヤーで仕立てるのには苦労しました。
もう1 つの「輝く未来へ」は、クレマチスをモチーフにしたジュエリー作品です。胸元のラインに沿うように骨組みを立体的に仕立てたネックレスで、構想から完成まで2 年をかけました。オーガンジーにワイヤーで骨組みを作り、首元をアールの繰り返しのデザインにし、3 ミリのスパンコールを使ってラインを細く仕上げ、ビーズの魅力を引き立てるようにマットゴールドとゴールドを組み合わせ、上品な雰囲気を追求しました。特に蕾の膨らみを出すのが難しく、見えない部分の工夫にも多くの時間を費やしました。
制作に苦労した分、完成した時は本当に嬉しく安堵しました
未来へ
展示会場でご自身の作品が並ぶのをご覧になったとき、どんなお気持ちでしたか?また、受賞を経て変化した気持ちがあればお聞かせください。
展示会場で素晴らしい作品に囲まれながら、自分の作品が並んでいるのを見たときは感動しました。
審査を経て出展が決まった時は不安もありましたが、当日は多くの方にご覧いただいたことが嬉しくて、さらに2 作品ともに賞をいただいたことは、本当に驚きであり、心から感謝の気持ちでいっぱいです。
多くの方から勇気を頂き、リュネヴィルクロシェ刺繍の魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい、伝えたいという想いが強くなりました。
今後、刺繍作家としてどのような目標や夢を描いていらっしゃいますか?
今は2025年12月から、リュネヴィル刺繍の定期レッスンを開講予定で、それに向けて準備を進めています。無理なく楽しめるレッスンを通して、刺繍の楽しさを分かち合えたらと思っています。
将来的にはもっと多くの作品を生み出し、個展を開催できるようになりたいと考えています
最後に
うさぎのしっぽ堂さんが大切にしていること
私は、作品を制作するうえで一番大切なのは「自分がどれだけ楽しんでいるか」だと思っています。その想いは必ず作品を通して見る人に伝わると信じて、これからも丁寧に、ワクワクしながら刺繍を続けていきたいと思っています。
うさぎのしっぽ堂
刺繍作家・講師
子育てがひと段落したのをきっかけに、都内にて、オートクチュールビーズ刺繍、リュネヴィル クロシェ刺繍、デコラシオンクチュールバッグ(縫わないバッグ)、フラワーアレンシメントを習得。
その後、講師として、都内近郊にて カフェコラボ 刺繍ワンデーレッスンを開催。多くの方と出会い、伝える喜びを知り、これを機に東京都千代田区にて、デコラシオンクチュールバッグのワンデーレッスン、また新宿区にて刺繍のワンデーレッスンを開催しています。
その間に、東京都を中心に多摩美術大学 芸術祭に出店。表参道のギャラリー、マンダリン オリエンタル 東京、パレスホテル 東京にてグループ展に出展し、そのほか愛知県一宮市でもグループ展に出展。
現在も通っているお教室の表参道での展示及びグループ展には毎回参加しています。
そして、先生に背中を押して頂き東京都 刺しゅうアートフェスティバル2025に出展。ゴージャス賞、andBouquet賞を頂きました。
これからも活動の幅を広げ、展示会はもちろんですが、定期レッスンの開講やコンテストにもチャレンジしていくつもりです
モチーフはクレマチス。花言葉は"精神の美"
コロナ後遺症に悩みながらの制作となりましたが、
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皆様の声を楽しみにしています
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