小さな手芸屋さん
数年前、私はミニチュアとドールハウスの世界に魅せられました。刺繍の傍ら、“パリのアパルトメント”を作り始めたのです。
そしてこのたび、そのパリの街並みが、遠く離れた浅草に現れます。
ミニチュア・ドールハウスギャラリー「ノエカフェ」の仲間たちとともに、約60作品が一堂に並ぶ展示。それはまさに、1/12スケールで描かれた、小さな感動が溢れるパリの街角です。
3年前、初めてこの展示を見たときの衝撃と感動は、今でも忘れられません。まさか自分の作品が、その一角を飾れる日が来るなんて──今もまだ夢のようです。
ミニチュア制作時間
木を切って、貼って、色を塗る…でも、その一つひとつの工程に、毎回新しい発見が待っています。
刺繍の合間、日々の仕事の合間に訪れるレッスンの時間。仲間と笑い合いながら、アイデアを出し合い、作り上げていくその時間は、私にとって大切な「心の休憩時間」となりました。
私の作品「Bouquet Mercerie」
今回私が手がけたのは、3階建てのアパルトメント。その1階に、自分の“夢の店”を作れるという課題が出され、私は「小さな手芸屋さん」を選びました。
架空の手芸店、名前は Bouquet Mercerie(ブーケ・メルスリー)。
看板はカリグラフィーで描き、針のモチーフをそっと添えて。ちょっとした遊び心です。
中に並ぶのは、小さな刺繍糸の箱や、1mmほどの小さい糸巻き、アンティーク風のイニシャルテープやレース……。どれも手作りです。奥の棚はあえてすっきりとさせ、ショーウィンドウには、あふれる夢を「ごちゃっとモリモリ」に詰め込みました。
3Dプリンター大活躍!
ミニチュア制作には木材、紙、布、レジン、粘土、パテ、アクリル板、ガラス、金属などありとあらゆる素材を使って作り上げていくのですが、
私は3Dプリンターも活用しています。
私が光造形レジンの3Dプリンターで制作したシャンデリアやミニライトを、多くの方がご自身の作品に取り入れてくださり、それぞれの個性で輝かせてくれました。同じ形なのに、色や配置でまったく異なる表情に──その発見がとても楽しく、嬉しく思っています。
裏の顔は2階と3階に
2階には隠れ家のようなバー、3階には標本や剥製を飾った小部屋──。
こちらはまだ制作途中ですが、インスピレーションはパリにある「デロール」という剥製・標本屋さんから得ました。外装にはアールを描いた窓(木材、厚紙、パテで作りました)…室内はというと中央の螺旋階段にこだわりました。
表の顔は可愛らしい手芸屋さん。
でもその奥には、自分だけが知っている“裏の世界”が広がっている。そんな遊び心を詰め込んでいます。実際に私を知っている生徒さんは、こっちが本当の私だときっとわかっている笑
2階、3階は現在家具やワインセラーくらいしかできていませんが、ぜひ窓から覗いてみてください。
日記