美しさの奥にあるもの
根っからの仕事人間の私。起きている間は頭がフル稼働。夕飯を作りながら新しいデザインや講座のアイデアが浮かび、夢の中でも企画を練っています。――そんな私が先日、仕事を考える隙が一切ない、仕事に対して完全な「無」でいる3時間を過ごしました。
映画は好きでも「家で配信を観れば十分」と思うタイプ。マルチタスクが当たり前の私は、配信映画を流しつつ刺繍をし、隣では3Dプリンターを稼働、さらに煮込み料理も同時進行。メールが来れば動画を一時停止して返信。効率と“タイパ”重視の私にとって、映画館に行く時間にそんな価値を感じていませんでした。
ところが今回は配信を待てず、どうしても“今”観たくなり、映画館で『国宝』を鑑賞。
表現できない感動
私の貧しい語彙では申し訳ないほど素晴らしく、圧倒的で、感情を根こそぎ持っていかれました。上映時間は3時間。それでも「もっと深く掘り下げてほしい」と思うほど長さを感じませんでした。
※ ネタバレは避けます。ぜひ多くの方に見てほしい!!!
狂気的な美しさ
主演2人のイケメンさは言わずもがなですが、主演2人の存在感、掛け合い、映像美――すべてが相まって“美しさ”が増していく。
儚さ、強さ、動き、そして特に感じたのが「静」の美しさ。とんでもなく美しい無表情の奥に潜む努力や野心、過去の傷が、動かない画面から確かに伝わってきます。
美しさで人を感動させられることは知っていましたが、狂気的なまでの美しさの奥行きが、人に「感動以上の感情」を与えるのだと痛感しました。
- 努力は見せるものではない。でも本気の努力はにじみ出る。
- 感情は言葉にしなくても、ときに人へ伝染する。
突き抜けた美しさを生むには、その奥にある“物語”や“覚悟”が不可欠なのだと思います。
技術とアート、その奥に
- 高度な刺繍技法を極め、細部を見てほしい作品
- テーマやデザイン性を最優先し、世界観を伝えたい作品
もちろん両立している方もいますが、数々のアイデアとセンスに触れるたび、「私の作品はどうだろう」と考えさせられます。
上手いだけでは響かない。
背後にある想いこそが人に届く。
映画『国宝』を観たあと、自分の作品の浅さに気づき、もっと時間をかけて深みを宿す作品づくりをしたいと強く思いました。
…そんな思考で刺繍をしていたら手はちっとも進まず、解いてばかり。翌朝、見直してもやはり酷く、すべて解きました。悔し〜。
3時間がくれた深み
深みのある美しさ
いつかそんな作品を作ってみたいと感じました
追記。
音楽も最高だから絶対に映画館がいい!
歌舞伎の音楽や発声。そして何よりエンディングの曲の入りは鳥肌が立ちました
日記